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社会安全とプライバシー

Japanese Journal of Social Safety and Privacy (JpnJSSP, Jpn. J. Soc. Saf. Priv.) 

A Japanese Open-access Peer-reviewed Journal

ISSN 2432-8391

  


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Vol.3, No.1 「安全・安心まちづくり」特集号

目次

 

論文

 

安全安心なモビリティとして開発された低速電動バ スによるコミュニケーション空間の創出に向けた一考察                                   

小竹裕人,舩津賢人,天谷賢児,宝田恭之,根津紀久雄,宗村正弘,登丸貴之,大橋司,清水宏康,佐羽宏之 

社会安全とプライバシー, Vol.3, No.1, pp.1-14, 2019.

要旨:近年,低速の電動バスが,環境に優しく安全安心な地域の移動手段を提供する新しいモビリティとして注目されている.現在,国土交通省は低炭素型の新しいモビリティとして,時速20km未満・電動・4人乗り以上の乗り物をグリーンスローモビリティという名称で様々な地域に導入することを進めており,地域の生活交通としての利用も期待されている.筆者らのグループは,このようなグリーンスローモビリティの一つである低速電動バスeCOM-8®を開発し,様々な地域への実装を行ってきた.このeCOM-8は,車内のシートが対面式となっており,乗客どうしの会話が弾みやすい構造となっていることが一つの特徴となっている.高齢者の多い地域の暮らしの足としての活用が進んでいるが,単なる移動手段としての活用だけではなく,地域の住民間のコミュニケーションを向上させる効果があることがわかってきた.このような効果は,地域の安全安心を向上させる新しい仕組みとして,重要な視点であると考えられる.本稿では,車内でのコミュニケーションが容易に発生する仕組みを,社会心理学分野で研究されている対人距離(パーソナルスペース)の概念を用いることで評価し,従来の移動手段と比較することを試みた.また,様々な利用場面でのアンケート結果からその効果を検証した.

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高齢者居住地域に導入された低速電動バスによる地域の自然発生的な見守り効果                

小竹裕人,舩津賢人,天谷賢児,関 庸一,宝田恭之,根津紀久雄,佐羽宏之,登丸貴之,大橋 司,清水宏康,宗村正弘 

社会安全とプライバシー, Vol.3, No.1, pp.15-27, 2019.

要旨:近年,少子高齢化の進展に伴い,地方自治体の多くは生産年齢人口の減少や経済状況の低迷に伴い税収が減少し,公共交通の維持にこれまでのように予算をまわすことが難しくなっている.一方で,公共交通が脆弱な地方都市の高齢者は暮らしの足が確保できず,自家用車を保有し続けなければならなくなり,高齢ドライバー事故の増加の一因となっている.また,高齢化は地域コミュニティの活力の低下も引き起こし,地域の人と人のつながりの低下も招いている.特に,高齢者が自家用車を手放し自由に移動できる手段がなくなった途端,外出の機会が極端に減少してゆき,地域の他の住民とのつながりも少なくなることで,急速に生活のクオリティ(QOL; Quality Of Life)が悪化する.これにより,地域の安全や安心が守られない状況も生まれ始めている.例えば,コミュニティ内のコミュニケーションが希薄となり,孤立死などの深刻な問題も見られるようになってきた.そのような課題を解決するために,多くの自治体では地域包括ケアシステムや,様々な見守りの仕組みづくりが進められているが,十分なケアが追い付かない状況である.

著者らは,これまで地域活性化のための新しいモビリティとして低速電動バスを開発し,高齢者が多く住む地域でそれを運行することで,バス車室内での会話が誘発されることを報告した1).このような新しいモビリティを導入することで,これまで自家用車という移動手段しか選択肢がなかった地域に,新しい移動手段が提供されるだけではなく,それを利用することで人と人の会話が可能な空間が創出されることが示された.本稿では,さらにこの低速電動バスの地域導入が,その地域に住む住民同士の間のコミュニケーションや情報の共有を高め,自然な見守り効果が発生することに注目して,その波及効果を検証した.また,バス利用者へのアンケート調査から,バスが導入されたことで実際に外出機会や会話機会がどの程度増えたかを明らかにした.これらに加えて,バス車室内で共有された地域情報が,コミュニティ内に展開される効果を検証することにした.具体的には,ネットワーク上の噂の拡散問題や,ウィルスの感染拡大の問題で用いられる数学モデルを応用し,複数の住民がバスの中で情報共有することによって,情報が地域へ波及する効果が向上することを検証した.その結果,暮らしの足として導入した低速電動バスが,その地域の住民の外出や会話機会を増加させ,情報共有が自然に行われていることが確認できた.また,このようなバスに多くの乗客が乗車するほど,地域への情報の展開が早くなる可能性があることを明らかにした.

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無線LANデバイスの位置推定に向けた基盤環境の構築および長期的評価                

高木理,加藤毅,鳥飼幸太,齋藤勇一郎 

社会安全とプライバシー, Vol.3, No.1, pp.28-34, 2019.

要旨:本論では,国立大学医学部キャンパス内の無線LAN環境を利用した,無線LANデバイスの位置推定を行うための基盤環境と,その実運用に向けた導入評価実験について述べる.ここで言う“基盤環境”とは,(i) 従来の無線LAN環境,(ii) デバイスの位置推定を行うために用いられるRSSIデータを随時蓄積させるためのサーバ,および,(iii) RSSIデータに基づいて位置を推定するためのサーバ,によって構成される一連のシステムを意味する.本論では,院内業務用の無線LANデバイス(スマートフォン)を約1ヶ月半に渡って連続使用し,その間の位置の推定状況を分析することにより,基盤環境の実運用性を評価する.

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国際宇宙ステーション医療技術の過疎地医療への応用可能性                

嶋田和人 

社会安全とプライバシー, Vol.3, No.1, pp.35-37, 2019.

要旨:月着陸を成就させたアポロ計画時代には宇宙用に特別に開発された医療技術を地上の医療に展開する「スピンオフ」が随所に見られた.現在飛行している国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)では逆に大半の医療技術は地上で実用・検証されてISSで適用される「スピンオン」である.しかし個々の物品でなく医療システムのコンポーネントを見れば「遠隔医療」や軽薄短小を強いられるパッケージ技術のように現在から将来に地上の医療に適用していける要素がある.

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